桜の龍~誠の元に集う者~
 歩「ヤダ・・・、怖い!誰か・・・・・私をこの暗闇・・・から、助けて!」
 普段、16とは思えねぇ程の大人びた物腰と、その剣の腕前をあわせ持った渡辺が口にした、切実な程の心の叫びに、俺はつい無意識の内に言葉を紡いでいた。
 「大丈夫だ。 不安に思いちまうんなら、一人で抱え込まずに俺達を頼れ。 安心して、こっちに戻って来い」
 優しく諭すように話し掛けると、少しずつ目の焦点がしっかりしはじめ、ゆっくりと俺達と視線を合わせた。
 歩「総司、一、平助、土方さん・・・・・・。ってアレ?何で私は副長室で寝てるワケ?」
 総「良かった、気付いた」
 平「大丈夫か?」
 困惑気味の歩に、斎藤が簡単に事情を話した。
 一「歩の正体がバレないよう、副長がここに寝かした」
 歩「そう、だったんだ。・・・土方さん、有り難うございます」
  「おぅ。念のため、今晩はここで寝泊まりだな。しっかり治さねぇと、近藤さんが心配するからな」
 崎「そうやで。これに懲りて、これからは自重するんや」
 医療方も担当する山崎の言葉に、すっかり凹んだらしい。 苦笑しながら、これからは体調にも気を使うという旨の約束をした。




 [土方side 終了]
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