桜の龍~誠の元に集う者~
 夢を、見ていた。
 歩「やあっ!」
 父「腕を上げたな。だが・・・まだ甘い!」
 夢の中にいるのは、私の父さん。なのに、結構若いし私の声も高いところを見ると、まだ私が幼い頃の夢だ。
 どうやら、父さんと幼い私は打ち込み稽古の真っ最中らしい。竹刀ではなく練習用の木刀を使い、父さんから一本取ろうと必死だ。
 父「ふんっ!」
 歩「わあっ!!!」
 そして、父さんの一撃で幼い私の手から木刀が飛んだ。
 歩「あーっ、また負けた~!」
この頃は父さんに勝ちたくて、ひたすら稽古に励んでたなぁ~。
 母「二人とも~。ご飯ですよ~!」
 歩「はーい!お父さん、早く!!」
 父「では、母さんの場所まで競争だ!」
 懐かしいなぁ~。こんな穏やかな毎日がずっと続けば・・・って、どんなに願ったっけ。 そう、私の人生が狂い出す、あの日から。



 あれは、小学校の運動会の時だったかな。徒競走で絶対に転ばないって、母さんに約束したのに同じグループの妨害に合い、転倒してしまったんだ。 応急手当の為、昇降口に設けられていた水道で傷口を洗っていると、当時、仲の良かった良かったクラスメイトが近くに来てくれた。
 ク「歩、大丈夫?救護テントまで一緒に・・・アレ?もう治ってる」
 確か、この時に初めて他人に龍の力を見られたんだっけ。
 歩「うん・・・これはね、小さい頃からずっとなの。お願い、他の皆には、内緒にしてくれる?」
 ク「いいよ。小さい頃から身に付いてるなら、それも個性出し」
 歩「ありがとう!」
 この時は、まだ洗っていた最中だったから個性という形で収まったけど、これは序章にしかなかった。
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