Honey honey days
次の日。昼休みに友達数人で話していると、クラスの女の子に肩を叩かれた。

振り向くと、「……莉々菜ちゃん、成瀬くん呼んでる。」と教室の前の方のドアを指差した。


ほ、本当に来た…!

立っているだけで目立つ彼はクラス全員の注目を上げている。

「莉々菜、こっち。」

手招きされると、友達に一言断りを入れ、彼の元に駆け寄った。


「どうしたの?」

「や、用はないけど。昨日約束したじゃん、会いにいくって。」


どうしてそんなことさらりと言えちゃうんだろう。

私は思わず目を伏せてしまった。


「なぁ、日曜日空いてる?」

「日曜日?空いてるけど何で?」



「デートしよ。取りあえず仲良くなりたいなーって。」

デ、デート?
そんなの良い訳がない。だってタクには彼女が…。

「……ちょっと考えさせて。」


私、どこから目線だ。っていうか、なんで断らなかったの?

でも突然の話に内心パニックになっていて、とても冷静な答えを出せる状況じゃなかった。

「じゃあね、また待ち合わせ場所とか連絡する。」


ひらひらと手を振り、不良グループの輪に戻っていってしまった。
< 5 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop