Honey honey days
「どっか行きたいとこある?」

みんなってデートってどこ行くんだろう。
ゲームセンター?マク○ナルド?
最近まで小学生だった私はそんな場所しか思い付かなかった。

しばらく考えていると、タクがくすくす笑った。

「おっけ、任せて。」

スタスタとお洒落なショッピング街に足を進めた。


お洒落な可愛い服ばかりでつい目を輝かせてしまう。

「わっ、可愛い!」
「それ、莉々菜似合うんじゃね?着てみたら?」

私が声を上げるとその服を手に取り、試着室に促してくれた。

「うん、折角だもんね。」

彼から服を受け取ると試着室に向かった。


「……どうかな?」

カーテンを開けるとタクが柔らかく笑みを浮かべた。

「やっぱ似合ってる。それ、買えば?」

私は値札にちらりと視線をやると苦笑いをし、
「いいよ、大丈夫。」と首を横に振った。


お値段は一万円。
とても中学生の私には手が届かなかった。

タクは私をじっと見つめた後、近くにいた店員さんに声を掛け、
「すいません、あれ下さい。」と言った。

私は目を丸くし、彼に駆け寄る。


「えっ、タク。私こんなにお金持ってないよ?」

「いいよ。俺が払うから。」
さらりと財布から一万円札を出すと、店員に支払う。

「そんな、駄目だよ。高いのに。」
「大丈夫だって、俺結構 小遣い貰ってるから。」
なんて、冗談混じりに言い、私に袋を手渡した。
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