となりの王様
「なんだ…。」
なんだ…って何!?
あたしがちょっとした怒りを
ぶつける間もなく
岩田くんはまた前を見て歩き出す。
一瞬でもドキッとした自分が
恥ずかしい…。
少しは気にしてくれたのかな…
とか思ったのに。
そんな訳ないか…。
でもこの微妙な距離を保ちながら
後ろを歩くのは何だか心地良い。
さっきの、ゴミ捨てのあととは違って
人目を気にしなくてもいいんだ。
少しだけ、ほんの少し
さっきよりも近く
岩田くんの背中がある。
相変わらず会話はないけど
なんか…いいな、こういうの。