二重人格
どうして私はこの人たちに過去を話したいと思うんだろう。
でも、言えないの。
・・・
あの日のことを話すと
私は……ッッ……
『大丈夫?奈々…』
と心配そうに新奈が私に話しかけてきた。
‘う、ん……大丈夫だよ’
と周りに人がいるため心の中で新奈に答える。
だ……め。
新奈にはそう言ったけど思い出してしまう。
思い出さないようにすればするほど過去の記憶が鮮明に脳裏によみがえってきた。
「おい、大丈夫か?」
紫樹がそんな私の変化に気づいたのか心配そうに私に聞く。
だけど私にはその問に答える余裕がなく震える手で携帯を取りだし陸ちゃんに電話を掛けた。