二重人格
「そんなことはない
俺達は感謝こそするけど
お前を責めることはないよ」
と優しく言う陸さんに
『そう…
ありがとう』
お礼を言った。
「な、奈々ちゃん?」
『ん?』
誰かに呼ばれ振り向くと海斗くんが聞いてくる。
「さっきから急に話し方が違わない??
奈々ちゃんだよね??」
『ふふっそうよ
わたしは私……なぜそんなことを聞くの?』
私はにっこり微笑みながら答えた。
まぁ、嘘は言ってないわ。
わたし(新奈)
は
私(奈々)なのだから。
「さっきの奈々ちゃんはそんな話し方も表情もしていなかったよ」
今度は昴君がわたしに問いかける。
『気のせいじゃないかしら?
それに…貴方たちは
わたしにあったばかりじゃない?
もし、
わたしが奈々じゃないって言ったら……
貴方たちはどうするの?』
わたしは少し
スウッと
敵意の込めた目で逆に問いかける。