二重人格
「紫樹達は奈々や新奈を助け出してくれると思うか?」
俺は陸にしか聞こえない声で言った。
「……わからない
だが、俺達は紫樹達に賭けるしかない」
「そうだな
早く、奈々と新奈に本当の幸せが来てほしいな」
これは俺たちの切実な想い……。
奈々にはたくさんの愛情が必要なんだ。
奈々は愛情に飢えている。
それは奈々だけに言えるものじゃなく、新奈にも当てはまるがな。
俺と陸だけの愛情だけじゃ足りない……。
たくさんの、周りからの愛情が奈々に訪れるように……。
そんなことをガラにもなく思いながら
俺と陸は新奈と紫樹達のやり取りを見守っていた。
陽・陸目線【完】