あした、地球に星が降る。
ユキとこの殺風景な部屋に住み始めて、もうすぐ二年になる。
もともとここは、僕が高校を卒業したときに父親が買ってくれたものだった。 そんなものいらないと何度も拒んだけれど、僕の意見なんか無視してほとんど無理やり僕をここに住まわせた父は、よほど僕のことが嫌いだったんだろう。
少しも父に似ていなかった僕は、よく父に汚物を見るような目で見られた。 視界に映るだけでも散々な扱いだったのに、間違って父に触れてしまった日なんかには数日の間、部屋から出してもらえなかった。
そんな父のとなりで、母はいつも気まずそうに目をそらすだけだった。
生まれてからずっとそうだった。家での話し相手は小さい頃から面倒を見てくれていた家政婦のおばさんと、外から着いてきたネコだけ。
だけど、高校を卒業する頃にはとっくにそんな生活に慣れていたし、むしろその状況が当たり前だと思っていた。
そんな僕にも友達はある程度いて、そのなかでも特に仲がよかったのが、高校で知り合ったユキの兄貴だった。
「なあ、ユキ。あいつ元気かな」
「……あいつ?」
「レイ」
その名前に、ユキの体が強張るのを感じた。
「なに、急に」
僕とユキがお互いをはっきりと認識したのは、僕が大学一年生のとき。ユキはまだ高校一年生だった。