あした、地球に星が降る。


「ユキ、レイは君のことがすきだったよ」



ユキの猫目が、大きく大きく見開いて瞳が揺れる。 桜色の薄い唇からは、ひゅうと息を吸い込む音が微かに漏れた。



「うそ」



ぽつり、言葉がこぼれ落ちる。



「嘘じゃない、レイもユキのことがすきだった」



僕はユキの良き相談者だった。
ーーそれと同時に、僕はレイの良き相談者でもあった。



「嘘言わないで! だって、あの日……お兄ちゃんはユキのことを突き離したじゃない……!」

「ユキに葛藤があったように、レイにも葛藤があったんだよ。 わかるだろ? すきって気持ちだけで君ら兄妹は上手くいったのか?」

「……っ」



ユキとレイはいつからか、ずっと同じ気持ちを抱いていた。


ただ、まだ幼くまっすぐに愛を叫べたあの頃のユキとは違って、レイは中途半端に大人だった。 大人でありながら、まだまだ子どもだった。

まっすぐに向けられた愛を素直に受け入れることも、上手にかわすこともできなかった。 ただそれだけの違いだったんだよ。



「レイもユキと一緒でよく喋ってたな。 僕はいつと同じような話をふたりから聞くんだけど、ふたりとも最終的には惚気話になってるんだ。勘弁してほしかったよ」
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