あした、地球に星が降る。



「いやいや、おかしいでしょう」

「おかしい、おかしすぎる」



12月21日、午前10時。普通の平日。
スッカラカンの教室の真ん中で二つの机を向かい合わせにくっつけて、「おかしい」をただひたすら連呼しているのは、とある私立高校二年生のアカリとコータだ。

机にうなだれたまま、同じ言葉を繰り返してかれこれもう2時間になる。



「ねえ、絶対おかしいよ」

「そうだ、おかしい。 こんな世の中おかしい」

「私たちまだ高校二年生だよ? 華のセブンティーンなったばっかじゃん。 おかしいよ」

「俺なんかまだ蕾のシックスティーンだわ。 おかしすぎるだろ」



最初はギャーギャーと思うがままに騒ぎ立てていた二人だったが、今はそんな元気さえもなくなってしまったのか、声のトーンもすっかり落ち着いてしまった。 動くのも口ばかりで、それ以外はぴくりとも動かない。

ただ、話している内容は2時間前とまったく変わっていない。 『なぜ、あした地球が終わってしまうのか』についてだ。



「私たち、青春真っ盛りなはずのジョシコーコーセーだよ? 急にあした地球が終わりますなんて、おかしいじゃん」

「俺、ダンシコーコーセーだけどな」
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