あした、地球に星が降る。
「うえーやめてよ。 みんなどうせ今ごろ恋人と会って愛の言葉ささやいちゃったりしてるだろうって時に、学校が恋人みたいな」
虚しすぎるんですけど、と言うアカリのお腹がギュルルと盛大な音をたてて鳴った。 コータがじとっとした目でアカリを見る。
「全然虚しそうに見えねえ……」
「いやこれ生理現象なんで」
時計を見れば、学校に着いてからなんやかんや四時間も経っていた。もうお昼だ。
お腹も空いたしそろそろ帰ろうかと指定のダサい鞄を肩にかける。家族も心配してふたりの帰りを待っていることだろう。
「まあ確かになー、彼女とかほしい人生だった」
コータが独り言のように言う。
「え、え、え? 中学で彼女いなかったの?」
「……げ」
「きゃー!ピュアボーイっ!」
調子に乗ったアカリを置いて、コータはすたすたと先に歩いて行ってしまうけれど、アカリは「待ってよー」なんて言いながらまだニマニマしている。
コータも「うるせーバーカ」なんて悪態をつきながらも、なんやかんや笑顔だ。
「ほら早く」
「え?」
昇降口を出て立ち止まった大きな背中。 慌てて駆け寄ると、パンッと開いたコータの傘に星屑がこつんこつんとはねて消えた。