あした、地球に星が降る。
「入れば? どーせ持ってきてないんだろ」
当然のように言うコータに、アカリはぱちくりと目を瞬かせる。
「なに?」
「うーうん! コータ様はこんなにやっさしーいのになんで彼女できなかったのかな〜って?」
「コータ様はやっぱり一人で帰りますね」
「ちょ、冗談冗談! イッツ、ジョーク!」
小さな傘ひとつに、制服の男女が身を寄せて。
「純情なコータ様の傷口に塩を塗りたくった罪、死んでも忘れねえからな……」
「私のこと大好きかよ」
「なんでそうなるんだよ」
星屑が薄っすらと積もったいつもの帰り道。 もう除雪からぬ除星をする人はいないみたいだ。
からんからん、と星を歩く音はいまだに慣れない。 慣れないままに終わってく。
「はあ、相合い傘は可愛い女の子としたかった」
「うるせえ。私だってかっこいい男の子と制服デートしたかったわ」
ビニール傘に落っこちてははねる星のかけらと、近づいては離れる青い距離。
どうして今日学校に来たの、なんて言葉は口にはしない。 偶然か必然か、思ったよりもいい最期。
ふたり目を合わせて、クスリと笑う。
「あーあ! イケメンと青春したかった!!」
「あーあ! 美少女と青春したかった!!」
青い男女は、指定鞄に秘めた青春を閉じ込めて。