あした、地球に星が降る。
それから二つめ。
『リョウコッ死んじゃだめよリョウコ……‼︎』
『お母さん、危ないので下がってください』
『嫌ッ嫌よ、リョウコ……っ‼︎』
どうやら私は、両親よりも先に死んでしまう親不孝者だということ。
リョウコ、と私の名前を泣き叫ぶ母の声がする。 振り絞ったような細い声で母をなだめる父の嗚咽が聞こえる。
ごめんね、父さん。母さん。
伝えなきゃと思ってなんとか口を開くけれど、言葉は出ない。
声を出すことってこんなに難しかったっけ。声を出すどころか、きっとこの唇だって、実際はほんの数ミリも動いていないんだろう。
生まれつき他の人よりも体が弱かった私。 誰も何も言わなかったけれど、物心ついたときから、自分は他の人よりも早くに死んでしまうんだとわかっていた。
27歳と7ヶ月ちょい、まあこんなもんだろう。
『リョウコ、母さん泣いてるぞ。 目ぇ開けろよ、リョウコ……!』
あれ、お兄ちゃんも来てくれたんだ。優しい声だ。
賢くて、いつも落ち着いてて、私の憧れだったお兄ちゃん。 お兄ちゃんが取り乱すのは、昔からずっと、私の体調が崩れたときくらいだった。 ごめんね、最後まで。