あした、地球に星が降る。
☆
「ほら、予想的中」
たぶんあのアナウンス後、世界中のだれよりも早くに一言目を発したのは、真っ白なこの部屋の隅っこに転がる彼女なんじゃないだろうか。
「予想的中、じゃねーよユキ」
「言ってたでしょ、なんかざわざわするーって。こういう予感ってなんか昔から外れないんだよねえ、なんでだろ」
天井を見上げたまま、いつものようにゆったりゆったりと話す彼女。僕にはそれが、ひとり言なのか僕に話しかけているのかよくわからなかった。
「やばいじゃんこれ、僕らあした死ぬってことだろ」
「だね〜、死因が星ってのは考えもしなかったなあ」
「ま、アリだよね」なんて言いながら中断していたスマホゲームを再開する彼女に、僕はひとつため息を落とした。
「お前な、なんでそう落ち着いてるわけ。怖くないの」
あした死ぬっていうのにゲームなんてやってる場合か? そう口にする前に、ユキの指がぴたりと止まった。
「ハルちゃんさあ、それ本気で言ってんの?」
「え?」
顔も体も、目線さえもこちらを向かない。だけど、さっきまでの上の空の返事とは確かに違う声色だった。
「だってユキ、ずーっと死にたい死にたい言ってたんだよ。知ってるでしょ? むしろ願ったり叶ったりだし。神様ありがとーって感じ」
「お前はまた……」
「はいはいごめんね、また面倒くさいこと言って」