あした、地球に星が降る。
ユキは死にたがりだ。 彼女の口からは、「死にたい」「死んだほうがマシ」が口癖のようにほろほろと出てくる。17歳の頃からだから……もう二年になるだろうか。
そしてそれは、ハタチを目の前にして最近いっそうひどくなったような気がする。だから僕は、毎日、ユキから目を離すのが怖くて怖くてたまらない。
「ていうか、ハルちゃんも十分落ち着いてると思うけど?」
「そんなことねーよ、急だし心臓バクバクいってるし。……触ってみる?」
ユキの側に座ってその細い手首を掴むと、下から俺を見上げる形になったユキと目が合う。
ユキはこんなことで動じるような可愛らしい女ではない。ちゅ、と手のひらにキスをしても、そんな僕をじっと見据えたままだ。
「ハゲるからやめて」
「いやどういうこと」
ちなみに僕はぴっちぴちの22歳なので、まだハゲてはいない。親の頭にもまだまだ元気な髪が生い茂っているから、これからハゲる予定もない。
「ほらねー、ハルちゃんもなんだかんだいつも通りじゃん。普通さ、あした死にますなんて急に言われたらみんな信じないか、狂っちゃうかだよ」
ユキが僕の手を振りほどいて言う。言われてみれば確かにそうだ。
「みんな、ホントはきっとどこかで気づいてたんだよ。星屑なんて降り始めたときから」