あした、地球に星が降る。
「なんで謝るの、変なハルちゃん」
自分の瞳を隠す手に、ユキは優しく触れる。静かに熱を重ねる。
「ユキはハルちゃんに感謝の気持ちでいっぱいのままで死んでゆくのですよ」
ふふ、と笑いながらユキがおどけた口調で言う。胸がぎゅうと締め付けられるような痛みに、少し泣きそうになった。
もっとちゃんとユキの表情が見たくて、手を外す。 ぱちりと視線が交わったユキに「ほんとに?」と女々しく聞くと、ユキは目を瞬いてからクスクスと小さく笑った。
「ほんとに決まってるじゃん」
「じゃ、すき? 僕のこと」
「だーいすき」
「……そっか」
どちらからともなく近づいて、唇が触れる。
ちゅ、と唇が離れる音が切なくて、もう一度噛みつくようにキスをした。
「僕も……」
甘く甘くなればいい。 「僕のほうが」なんて言葉は、キスに絡めてどろどろに溶かしてしまおう。
「っん……あと、ね……」
「なに」
「あとは、私のほうこそごめんって気持ちが少しだけ」
こつんこつんと、窓に星屑が当たる音がやけに大きく響いた。 ……ああ、今いちばん聞きたくない言葉だ。
「……謝んなよ」
「ハルちゃんはユキが謝るのをほんとに嫌がるよね。 でも、最期くらいちゃんと謝らせて」
「やめろよ。哀しく、なる」