お前、可愛すぎてムカつく。




「彩ちゃんって真面目でしっかりしてそうだよね?」


「え…そうでもないです」



「だって最初の挨拶、すごく堅かったもん…」


ママさんがクスクス笑っていた。



「榎本さんはちょーー真面目だよ、当番の掃除もサボったりしねーし、授業中も一切寝てねぇし」


桐谷くんが笑いながらそう言った。

授業中って…


私のこと見てたの!?



「そうなんだ~エライねぇ!?私なんて寝てばっかだったよぉ!」


「だから母ちゃんはバカなんじゃん」


「もぉっうるさいなぁ~」



ママさんとのやりとりが面白くてつい笑ってしまう。


なんだか桐谷くんの毒舌も愛情表現のひとつなのかな…。


すごく微笑ましく感じる。



「でもさ、今どきなかなかいなくない?挨拶もしっかりできてたし、良い子だなぁって思ったよ」


ママさんが誉めてくれて、嬉しくなる。


「うん。良い子でしょ?」


何気なくさらっと言った桐谷くんの言葉にどきっとした。


良い子って思ってくれてたんだ…。

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