お前、可愛すぎてムカつく。
3人で教室に入ろうとしたとき、後ろから名前を呼ばれた。
振り返るとそこには見たことがない男子生徒がいた。
茶髪で制服をだらしなく着こなしていて、見るからに不良っぽい。
「あんたが榎本彩?」
「そ、そうですけど…」
「颯太が呼んでるからちょっときてくんねぇ?」
「え!?」
上履きを見ると3年生だった。
この人確か颯太先輩の友達だ…。
「何?」
その時桐谷くんが私とその3年生の間に入ってくれた。
「あれ、お前確か桐谷ってやつじゃ…」
「そーだけど。颯太君が榎本さんになんの用?」
「お前に関係ねぇだろ、俺はただこいつ連れてこいって言われただけだし」
桐谷くんが振り返って私を見た。
「行かなくていーから」
そう言って私の手をとって教室の中に入ろうとした。
「おい!ちょっと待てよ!俺はこの女に言ってんだよ!」
その3年生が桐谷くんの肩を掴んだ。
二人の間に異様な空気が流れ、今にも殴りあいそう。
渉くんもその3年生のことを威嚇してるっぽいし。
周りの生徒たちも何事かと注目している。