お前、可愛すぎてムカつく。
「榎本さん、水原さんが呼んでるよ」
クラスの子に言われてドキッとした。
水原さんとはミス新崎のこと。
何を言われるか、だいたい想像がつく。
「え、水原?彩になんの用!?」
「な、なんだろね!?ちょっと行ってくる!」
廊下に出ると、水原さんがお怒りモードで立っていた。
やっぱり…恐いよーっ
私の顔を見ると、不機嫌そうに手招きした。
「ちょっとこっちきてよ」
そう言って、教室から少し離れた廊下に移動した。
「あの…なんの用ですか」
「何の用じゃないでしょ!?あの噂ホントなの!?蒼空と付き合ってるって…」
「ハイ…」
水原さんが眉間にシワを寄せて近づいてきた。
「なんであんたなの!?私の方があんたよりもずっと前から蒼空のそばにいたのに!なんで私じゃなくてあんたが付き合ってんの!?」
女子に壁ドンされるのは初めだけど、全然嬉しくない。