お前、可愛すぎてムカつく。


蒼空、一体なに考えてんの!?


堂々と黒板に書いた文字は英語ではなくて…


「これ、ドイツ語じゃん」


渉くんがボソッとつぶやいた。


「え!?ドイツ語!?」


蒼空はサラサラと長文を書きあげると、先生の方を見た。


「わかりました?」


「い、いや…てかさ、お前これドイツ語だろ!?」


「そーですけど?教師なら、ドイツ語くらい知ってると思ってました」


「わかるわけ…ないだろ…」


「じゃ、あとで調べてみてください」



蒼空は鼻で笑い、チョークを置くと席に戻った。


先生の顔が、ひどく歪んでいる。



「ねぇ渉くん…あれなんて書いてあるかわかる?」


「うーん…俺もよくわかんないんだけどさ…蒼空があんな笑い方してるときって相当ムカついてる時だよ…。松林先生となんかあったのかな…」


確かに蒼空の笑顔は普通じゃなかった。


裏があるような、ちょっと怖い気もした。


元々腹黒だったけど。


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