お前、可愛すぎてムカつく。


「ゆっくりでいいから…。俺の事も少し考えててくれないか」


そんな風に言われて、ハッキリ“無理です”なんて言えないよ…


でもそんな自分にも腹が立つ。


答えは決まってるのに、なんでハッキリ言えないんだろう。


この前蒼空に言われた、“そういうところが余計に人を傷つける”って、少しわかった気がする。


先生に家まで送るって言われたけど断った。


先生は何もしてこないって信じてるけど…


私に好意を持ってるって知って、少し怖くなった。



薄暗くなってきた通学路を、ぼーっとしながら駅まで歩く。


さっき先生に言われたことが頭の中でぐるぐる回っていて…


信じられずにいた。


でもーーー思い起こせば、思い当たることは沢山あった。



蒼空はそれに気づいていたんだ…


それなのに私ってば考えもしないで頭ごなしに否定していた。



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