お前、可愛すぎてムカつく。
「え…わた…る君!?」
「大丈夫だから。俺はずっと彩ちゃんの味方だから!辛くなったら無理しないで言ってね?」
「う、うん…」
私ってばバカだな…渉君は私の事心配して言ってくれてんのに!
変な事考えちゃったよ。
でも両手はしばらく握られたままで、いつ手を離していいのかわからなくなった。
「渉君…手が…」
「あ、ごめんっ!!じゃ…行こうか」
私の手を離すと店の裏口のドアを開けた。
ドキドキがピークに達する。
ドアを開けた瞬間、通路にいた水原さんと目が合った。
「榎本さん!?どうして…」
「あ、あの…」
「今日から入る新人って、榎本さんの事なの!?」
水原さんはものすっごく嫌そうな顔をしていた。
思ってることが顔に出まくっておりますが…。
「そうなんだよ、俺が紹介してさ」
渉君が間に入ってくれたからほっとした。