お前、可愛すぎてムカつく。
着替え終わるとすでに水原さんと蒼空の姿はなかった。
「2人は帰ったよ。彩ちゃん、俺車だから送ってくかー?」
「え…」
「その顔じゃ電車に乗りづらいだろう?」
やっぱり…高橋さんには気づかれた…
「何があったのか知らんけど…辛いな~ああいうところ見せられると」
「は…い」
再び涙が溢れ出てくる。
高橋さんは私の頭をポンポンと撫でてくれた。
あー。メソメソしたくないのに。
こんなことになるってわかってたのに。
しっかりしなきゃ。
帰りは高橋さんが送ってくれたから助かった。
泣きはらした顔、色んな人に見られなくて済んだな…。
家に着いて車を降りようとした時、高橋さんがボソっとつぶやいた。
「蒼空君な、さっき帰るとき俺にこっそり頼んできたんだよ」
「え?」
「彩ちゃんを送ってくれってな」
高橋さんはにっこりと笑っていた。