お前、可愛すぎてムカつく。


「だって彩ちゃんが俺のために選んでくれたんだもん、欲しいに決まってるじゃん」


ぎゃー…


まさか蒼空に見られるなんて…


「わ、渉君にはいつもお世話になってるからそのお礼で…もちろん翠にも買ってあるんだけどね…」


蒼空はそんな私の言葉など耳に入っていないみたい。


不機嫌なまま渉君を睨んでいる。



「いーでしょ別に。蒼空には彩ちゃんがいるんだからさー」


「はぁ…。まぁな、それはやるけど、彩はぜってーやんねぇからなっ」


蒼空は私を力強く抱き寄せた。


渉君の前で~~~!!!


「ちょっと…蒼空!!」


「ぷっ。蒼空ってホント子供だよね…」



渉君が笑い、それに対して蒼空がまた怒った。


本当に子供なんだから…イチイチムキにならないでよーっ。



「じゃ…邪魔者は退散するかなー」



渉君がベンチから立ち上がり、こっちを向いた。



「彩ちゃん、話聞いてくれてありがとう」


「う、ううん!こちらこそ…」


こちらこそ、なんだっていうんだ。


渉君の気持ちに答えてあげられなかったのに。


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