お前、可愛すぎてムカつく。
待ち合わせ場所に行くと、すでに先輩の姿があった。
先輩は私の姿を見つけると、笑顔で手を振ってくれた。
先輩とデートだなんて、ついこの前までは夢のまた夢だったのに。
これが現実だなんていまだに信じられない。
先輩の私服はモノトーンを基調としたコーデで、かっこよかった。
「先輩!お待たせしました」
「全然待ってないよ~てか、私服もかわいいねっ」
お世辞かもしれないけど、先輩はすんなり私の事を“かわいい”と言ってくれる。
桐谷君だったら、そんなこと微塵も思ってくれないんだろうな…
「映画の前にさ、ランチでも行かない?美味しいパスタの店あるんだよね」
「はい!」
先輩は思った通りの人だった。
優しいし大人で頼りがいがあるし、桐谷君みたいにムカつくこと言わないし…
ってか、さっきからなんで桐谷君と比較しちゃってんだろ!