お前、可愛すぎてムカつく。
タクシーはすんなり捕まって、桐谷くんちまでは20分くらいで着いた。
閑静な住宅街の中にあって、タクシーから降りると周りがシーンと静まり返っていた。
桐谷くんの家ってでかい…
家族の人たち寝てるのに勝手に入っていいのかな…
着歴の嵐だったから、自分の母親には友達んちに泊まると連絡しておいた。
男の子の家に泊まるなんて、口が避けてもバレたくない。
家の中に入ると真っ暗になっていて、家族の人たちは寝ているようだった。
「お、お邪魔します…」
一応小声でいってみる。
それを聞いていた桐谷くんが、ぷっと笑っていた。
「俺の部屋二階だから」
桐谷くんの部屋は綺麗に片付けられていて、想像していた男の子の汚い部屋ではなかった。
「突っ立ってないで座れば?」
そう言われ、とりあえずその場にバッグを置いた。
「あー…疲れた。ねみぃ…」
桐谷くんはベッドにバタンと横たわる。
その姿を見て、なぜかドキドキが増していく。