お前、可愛すぎてムカつく。

正座して部屋をぐるりと見渡した。


音楽が好きなのか、大きなステレオの横には沢山のCDが置いてある。


…レッチリだ。


私も洋楽が好きで、よく聴いているバンドのひとつ。


「榎本さーん」


「は、はい!?」


突然名前を呼ばれてどきっとした。

桐谷くんの方を見ると、手招きしている。



「え?なに…?」


「寝よーよ」


「ね、寝る!?もう!?」


「もうって…2時すぎてんじゃん…」


よほど眠いのか、目をつむったまま言っている。


変な意識をしてるのは私だけかも。


「ベッド1つしかねぇから…一緒でいーよね?榎本さん奥いって」


そう言って枕を壁際にずらした。


「えええ!?わ、悪いよ!!私は床で大丈夫!!」


家にきただけでも大事件なのに、一緒に寝るなんて無理に決まっている。


< 92 / 307 >

この作品をシェア

pagetop