【短】花火の夜に
「コラッ不良女子高生!」

オレはある女の子に声をかけた

「も~その呼び方止めてってば!」

「事実だろ♪」


そう言っておれはギターを片付け始めた
こいつはたしか1年前くらいから毎週オレのライブに来てくれる

「まだ22時だもん!」

「"まだ"じゃなくて"もう"だから!」

「そんなことないですぅ!」

「そんなことありますぅ!」

「真似しないで!」

いつからだろう

こうやってこいつと話す時間を大事に思うようになったのは…

こいつを好きだと思ったのは…

お客さんに手を出すわけにはいかないよな…


「っとに なんで毎週毎週……どんだけオレのウタが好きなんだよ(笑)」


オレにはからかうことが精一杯だった


「そ そんなことないし!予備校帰りに"ついでに"来てるだけだし!」


そーなんだ…って何凹んでんだよ、オレ…
わざわざ来てくれるわけないだろ
こいつの着てる制服はこの辺じゃ有名な進学校のやつだし

"予備校帰りのついで"

当然だろ………


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