私情。
「でもね、何度も言うけどこうなることもわかってたんだ。だからね、生返事しちゃったしさ。空、幸せになってよ。」
彼が、ニコニコと笑う。
「ほら、もう行きなよ。」
そう言って、
アイスティーに口をつける。
お会計を気にしたけれど、
それくらい気にするんじゃねえと言わんばかりに、
「ばかだなあ。最後くらいかっこつけさせてよ、出させるなんてかっこ悪いじゃんか。」
私は最後にめいいっぱい笑って、
「ありがとう、またね。」
なんて。無責任に言って背を向けた。
彼は私の背を見ながら、
私が見えなくなるまで手を振って、
笑い続けた。
そんなの、知る由もなかったけれど。
ありがとうと呟いた君も、
さようならと呟いた君も、
ずるいよと笑って涙が溢れていた君も。
私には羨ましいなんて言っても君は、きっと笑って許すだろう。
中途半端なわたしで、ごめんね。
口になんて出せないから、
胸の中で何度も呟いた。