私情。
それ以外で動いてはいけない。
だって、そうしたら欲が勝ってしまうもの。
けれどその優しさが、
ひどく重いと言われては。
所詮なにもできない赤子と同じ。
私は、
あーちゃんに恩返しをするために生きているようなもので。
昔々、小さな世界で。
昔々、音にあふれた小さな世界で。
あなたに出会って、
あなたが笑って、
そんな風に人が集まった記憶。
人が弱さに負けた時、
あなたはずっと人を支えた。
人がどうしようもなく、
寝返りもできないほど疲れ切った時。
あなたは寄り添っていた。
なのに、
あなたが辛い時誰一人として、
そこにはいなかった。
遠巻きに笑う人々。
裏切っていく過去の仲間。
あなたばかりが多く失って、
手のひらに残ったのは。
「あーちゃん。好きだよ。」
彼にとっては申し訳程度の、
私という存在。