私情。
「なにしに…来たの?」
「んー?天音さんに会いに。」
「へえ。飛んだ物好きだね。」
「天音さんはものじゃないよ。」
「へーえ、そうだね。」
皮肉じみた答えに、
あっけらかんと返した。
私が彼の前に、1年ぶりに顔を出してから一週間後のことだった。
あーちゃんはこの時ずっと、
外だけを見ていた。
こっちなんて一切みずに。
何も考えたくなさそうに。
ごめんねを、
言ってしまったらきっと溢れて止まらない。だから、本当はその背中に飛びついてしまいたいのに、ごめん、ごめんね。
言えない気持ちを押し殺して、
会話を続ける。
「天音さん、なにがあったの?話してよ、どんな天音さんも好きだよ。」