私情。
それは、とてもありがちな話で。
吐き気が止まらない。
頭痛が治まらない。
そんな風に、
ストレスに弱くてなにに対しても脆かった。
死ぬにはどうしたらいいのか、
死ぬためにはどうするべきなのか。
そんなこと考えた挙句、
全てはうまくいくようにできている。
という場面に直面する。
友達に誘われて、
定期検診に足を運んだ時のこと。
胃のむかつきは薄々感じていたのだが、
小さいけれど悪性の腫瘍が見つかったと告げられた。
これで、全て終わりなんだろうと。
そう腹をくくるものの、
医者の口から出たのは
「安心してください。今は医療も進んでいます。胃は半分ほど摘出する形になってしまい、暫くは負担も大きいでしょうが…これくらいなら命に別状はなく手術次第でなんら変わりなく生活することはできます。」
という言葉だった。
恐ろしいくらい笑顔で、
そして自分は幸運なのだと知る。
…また、中途半端だ。
他の誰かと比べたら本当はすごく幸せなことなのに、私にはそれしか考えられなかった。
自分は中途半端だ。
でも、まてよ…?
もしかしたら、これで…
「放置…したら、癌ってどうなるんですか…?」
医者はその言葉に目を見開いた。