私情。
猫を撫でる私に、
彼女は後ろから明るい声をかけた。
「その猫ちゃん、お姉さんの家のこですか?かわいいですね。」
それに対して私は少しだけ申し訳なさそうに首を振って、
「このこもう、しんでるんです。」
だなんて答えた。
そう言うと彼女は私の隣にしゃがみこんで、恐る恐る猫を撫でる。
「この猫ちゃん…どうするんですか…?」
「そう言う業者さんに連絡しようかと…胸が痛みますが…。」
そう答えた私を横目に、彼女は猫を抱きかかえた。それから、目で追う私に少し笑って、
「この近くの…公園にある大きな木の下に埋めてあげませんか…?」
「はい…?」
「このこ、多分飼い猫じゃないです…私も昔飼ってましたが、状態を見る限りだと…だからこそ、あの木の下に埋めてあげたくて。」
「木の下、ですか?」