私情。
「あ、あの…木の下、なら。木の下に埋めてあげれたら、栄養になって巡り巡って、命になる、んじゃないかって…。」
ああ、なるほどと。
私は笑った。
家が近いのでスコップ、シャベルを取りに行くと言って、彼女は去っていった。
その道をただ眺めては、
私にはそんな考えできなかったと。
そしてあの人は、
綺麗な。そう言う意味でとても、
綺麗な人なんだと。
そう思ってしまった。
きっと弱さも抱えて、
辛さも受け入れながら。
そしてそれは嫌味ったらしくもなくて、
何よりも愛しい。
作ったもんなんかじゃない。
根っからの優しさ。
羨ましいなんて言葉は、
あの人には失礼だと。
そう、心から思った。