私情。
猫は私が抱えて、
彼女はスコップを取りに。
10分と経たないところで、
「お待たせしました!!!」
そうはりきった声が響く。
「いえいえ、全然。」
「公園は…こちらです!」
数分も経たないくらいの裏の道。
すぐそば。
大きな木と聞いて大体予想はついていたが、なるほど。
ここは、あーちゃんの家から5分のあの公園だ。
木のそばに寄って、
目をつむって見上げる。
そのあとゆっくりと開いて、
見える世界に息を飲んだ。
雄々しくたくましく。
そこには、弱さをはねのけれるような生命の強さと、そして、同時に何かの犠牲を感じてしまった。
ここまで成長する上で、
犠牲は欠かせないのだと知る。
この猫も、栄養になる。
栄養と犠牲は何が違うのだろう。
自然の摂理、ピラミッド。
必要な淘汰。
それって人間がつけた、
定義なのかそれとも…。
花も生きていて、
野菜も生きていて。
虫も生きている。
そして、私たちも。
食べることは、なんらかの犠牲の上に成り立っていて。成長も、犠牲の上に成り立っていて。
そう考えるのもおかしくはないんだろうけれど、キリがないから皆当たり前と定義づけるのだろうか。
しばらく考えたような気になれて、飽きたような感じに包まれたので彼女の方を向いた。
隣で、手を合わせて目をつむっている。
しばらく見つめていると目があって、
ニコッと笑ったあとまた繰り返した。
私もつられるように、
猫を抱いたまま目を閉じる。