私情。
ジリジリと照りつけるはずの太陽を、
まだ残る青い葉がさえぎる。
さらさらと風が吹き抜けて、
まるで五月頃の。
淡い出会いに希望を抱いて、
駆け出したくなるようなそんな天気で。
別れと出会いが一気にやってきた。
この女の人と、それから横で眠る猫。
生きているものにしか、眠るという表現を使ってはいけないのなら。
横で、猫が死んでいるという表現になる。良くも悪くも死という現実はどうしたって残酷で、だけれど、その死によって顔を合わせた、私と彼女。
しばらくすると、彼女が手を止めた。
「どう…しました…?具合でも…?」