黄泉の本屋さん
同業者は恋のライバル?
「保留にしたって、いい案が出るとは思いませんけど」
そう言いながらぶつぶつ文句を言うのは暁。
私は正座をして向き合いながら肩を落とす。
「あの、また私が姿を見せて話をするとかさ」
「話をしたところで、立ち直れるんですか?」
「そ、それはわからないけど・・・」
「無闇に首を挟むべきではありません。下手に期待させて、成仏できなくなったらどうするんです」
「それは・・・・・・」
確かに、そうだけど。
期待させて、なにもできなかったら・・・。
「明日、あの方にちゃんと話をして違う方法を探しましょう」
「でも!そんな、誤魔化すようなこと・・・」
「すべての心残りを消し去ることは無理です。どうしたって、未練残りは残ります。消せるかわからない心残りよりも、可能性がある方法を選ぶ方が賢明ですよ」
暁のいう事はもっともだと思う。
それでも、きっとゆめかさんの一番の心残りは、彼の事なのに。
でも、確かにできることなんてわからない。
人の心を変えるには、私には力不足だ。