黄泉の本屋さん
「池野さん。一つだけ・・・」
「はい」
「ゆめかさんは、池野さんの幸せをきっと願ってると思います。前を向いて、生きてほしいって」
「・・・でも、俺は。ゆめかのいない世界なんて・・・」
「大好きだから!池野さんの事が、大好きだから!大好きな人には、笑っていてほしいんです。幸せでいてほしいんです。笑って、送ってほしいんです」
もうすぐ、ゆめかさんは消えてしまう。
もう大丈夫だって。
安心してって。
見送ってほしい。
残される人の悲しみは、計り知れない。
好きで、好きで、たまらない。
そんな人に置いていかれる悲しみは。
それでも、のこしていってしまう人の悲しみも。
私は、知ってしまったから。
「出過ぎたことを言ってすみません」
「いや・・・」
池野さんは手紙に目をやり、そっと手を伸ばした。
開かれる手紙。
池野さんの隣には、ゆめかさんが寄りそう。