黄泉の本屋さん


「お、お待たせしましたぁ!」

「いつまで待たせるんだ!」



おじさんは、完全に怒り心頭といった様子。
せっかちすぎるよ。



「お待たせしてすみません。お名前をお聞きしてもよろしいですか?」

「・・・徳山信三(とくやましんぞう)」

「はい。心残りを、覚えていますか?」



あんなに怖いおじさん相手に浅葱は全く怖気づきもせずいつもの優しい口調で尋ねる。
そんな浅葱の雰囲気に緩和されたのか、おじさん・・・徳山さんは受け答えをしていく。




「・・・覚えとらん」

「そうですか。大分忘れられているみたいですね。では、その記憶を取り戻しに行きましょう」



浅葱はテキパキと契約書に手形をもらった。
浅葱が微笑み、暁が現れる。
浅葱が唱えると暁は扇子の姿に変わった。




「汝(なんじ)、姓を徳山、名を信三とする。神の代行者である我、浅葱と契約を結び、その心を我に伝えよ」



浅葱がそう唱えると、ブワッと風が舞い上がる。




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