黄泉の本屋さん
「あった」
「最初は、やっぱり生まれた病院だね」
でも、そこはもう廃病院になっていた。
少し山奥にある病院はもう使われておらず、廃病院はどこか不気味だ。
「早く、次行こう」
「はは、怖い?そうだね。今回は多そうだから、少し急ごう」
浅葱はそう言うと私の手をぎゅっと握り次の場所へと急いだ。
浅葱の言うとおり、かけらはいろんなところに散らばっていた。
徳永さんの亡くなった年齢は76歳。
その分、記憶だって多くなる。
私たちは順調にその記憶をたどっていった。
徳永さんは終始黙り込んでいる。
なにか、思い出しているんだろうか。
記憶の筆は浅葱がまだ持っているから、思い出してはいないと思うけど。
心の中で、懐かしいとは思うのかもしれない。
「浅葱、徳永さん、息子さんとうまくいってなかったのかな」
さっき見えた記憶。
最後の方は、ずっと言い争っている記憶だった。