黄泉の本屋さん


「さあ、どうかな。その人によって強く覚えていることが現れる走馬灯のようなものだからね。いい思い出だって、きっとあったはずだよ」



いい思い出があるのに、ケンカしたことばかりを覚えているなんて、なんだかさみしいな。
親子なのに。



親子だから?



「難しいね」

「そうだね・・・」



浅葱の温かい視線が私を見つめる。
胸が、トクン、と鳴った。



なんだろう、この気持ち。



私は振り切るように顔を反らした。




「よし。これで最後だ」

「よかったぁ」




両手に抱えるほどの記憶のかけら。
それを徳永さんに渡す。




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