黄泉の本屋さん
徳永さんらしい。
なんとなくそう思った。
だって、自分はもう死んじゃっていて、息子さんには見えるはずない。
だから、遠目からでも様子を見たらよかったのに、自分の下事を気にして律儀にいけずにいたなんて。
「徳永さんが、成仏できなかった理由、きっとそのせいですね」
「え?浅葱、どういう意味?」
「・・・今ね、一足先に見てきたんだ。息子さんの事」
「えっ?」
見てって、ずっとここにいたのに?
それも、神様、の力なんだろうか。
「徳永さん、息子さんを見に行きましょう」
「そんな、今更」
「顔を合わせ、言葉を交わすことはさせてあげられないけど、姿を見せることはできるんです」
「・・・俺は」
「行きましょう。きっと、後悔します」
浅葱は力強く言った。
徳永さんは、躊躇いながらも頷いた。