黄泉の本屋さん
異変
「徳永さん、きっと今日この日にあなたが黄泉屋書店を訪れたのは、きっとそうなるべき時だったからだと思います」
「え?」
「今日、息子さんはご実家に帰られているんですよ」
浅葱の言葉に、徳永さんは目を見開いた。
浅葱は笑い、徳永さんの家へと入っていった。
中には、30代くらいのかっこいい男の人がいる。
きっとその人が、俳優をされている息子さんだろう。
結構人気が出てきているらしいのに、どういうわけか私にはピンとこなかった。
私が知らないだけなのか、暁が言う記憶、のせいなのか。
私が忘れてる記憶って、そういう事だったの?
後は、きっと徳永さんの奥さんらしき人と、それからまだ首の座っていない赤ちゃんを抱いた女の人。
「あの人・・・」
「・・・誰だ?」
徳永さんも、知らないらしい。
「徳永さんは、今まで頑なで見ようとしなかったからね。あれは、息子さんの奥さんだよ」
「結婚、したのか・・・。そうか、じゃああの子は・・・」
徳永さんの瞳が潤む。