黄泉の本屋さん


「神の力が、戻った・・・。浅葱は・・・」



大人の姿の暁は、苦しげな表情でそう呟く。
私は、訳が分からず戸惑う。



「暁・・・なの?」

「はい。これが、私の本来の姿です」

「本来のって・・・」

「この黄泉屋書店の神は、私です」




本当の神様が、暁?
でも、だったらどうして浅葱が身代わりなんて・・・。




「本を、浅葱の本を私に」

「・・・あ、はい」




言われるがまま浅葱の本を暁に渡す。
暁はぺらぺらとその本を捲り読み始める。



「浅葱は、もともと人間です。とても心優しい暖かい人間でした」

「浅葱らしいわね」

「はい。ですが、彼はその優しさゆえ、悪霊に取り入られてしまったんです」




私は眉を顰め、暁を見る。
暁は本を見つめたまま言葉を繋ぐ。




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