黄泉の本屋さん
「浅葱は、幼いころから霊を感じることのできる体質でした。ですが、浅葱はその例にさえも優しく、時には声をかけてあげていたようです」
「霊にも・・・」
「そのおかげで、黄泉屋書店に行くことができ結果成仏できた霊もたくさんいたと記憶しています」
生きていた頃から、霊を救っていたんだ。
それは、意図してしていたことではなかったとしても。
浅葱の根っからの優しさで。
「浅葱が、亡くなった原因は、そこにあります」
「え?」
「浅葱は、ある踏切で線路に飛び込もうとしている人を助けようとして電車に轢かれ亡くなりました」
「電車に・・・」
「ですが、助けようとしたその人は、人間ではなく・・・悪霊だったんです」
「え・・・」
「悪霊はそうして、人を死に追いやり奈落へと魂を引きずり込む・・・。浅葱もまた、その毒牙にかかってしまった」
そ、そんな・・・。
悪霊のせいで、浅葱は死んじゃったと言うの?
浅葱の優しさに付け込んだ、悪霊の手によって・・・。