黄泉の本屋さん
浅葱の腕を掴むことに成功する。
でも、浅葱は私の声に振り向くこともなく、ただひたすらに進もうとする。
私の声が、届いていない。
「浅葱!ダメ!お願い!起きて!」
悪霊なんかに負けちゃだめだよ!
元の浅葱に戻って。
どんな浅葱でも、受け入れるから。
今までの浅葱と違っても、それでもいいから。
「浅葱!」
私は浅葱の前に回り込み、浅葱の身体を押し返す。
浅葱は、瞳になにもうつさずただ前を向き無表情で歩き出す。
私は足を踏ん張り、必死で浅葱を抑える。
「奏音さん!踏切に入ってはだめです!あなたまで、引きこまれてしまう!」
「でも、このままじゃ浅葱が!」
私は後ろをちらっと確認しながら必死で足を踏ん張った。