黄泉の本屋さん



「あの悪霊は、あの場所で亡くなった人の魂が、集まったものです。それが、仲間を呼び込もうと生きている人間を誘っていたんでしょう」




浅葱を黄泉屋書店まで運び、寝かせると暁はあの悪霊について説明してくれた。
一つの霊だけではなく、たくさんの霊の集合体だったそうだ。



「元の姿も思い出せなくなり、悪霊となってしまえばもう救うことはできません。残念ですが・・・」

「そっか・・・」

「ですが、浅葱だけでも掬えてよかった」



暁の視線は暖かい。
浅葱に対する暁の態度は、とても暖かく優しいものだ。

暁は、自分の力を浅葱にうつすことまでして浅葱の事を救ったんだ。




「暁は、どうしてそこまでして浅葱を?」

「・・・私は一度、浅葱に助けられたことがあるんです」

「浅葱に?」

「はい。生きていた頃の浅葱に」




懐かしむように浅葱を見つめる暁。




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