黄泉の本屋さん


でも、好きな気持ちは理屈じゃない。




「私は、浅葱だから好きになった。幽霊とか、住む世界が違うとか、そんなの関係ない」

「奏音さん。僕なんかのために生きることを諦めないで。あなたは、帰らなくちゃいけないんだ」

「わかってる!」




私だって、大好きな家族のもとに帰りたい。
たくさんの霊に出会って、生きることの大切さを尊さを知った。

だから、最後まで悔いなく生きたいって思ってる。
でも、それと浅葱のことは違う。




「もとの生活に戻っても、この場所を探す!浅葱に、会いに来るから!それなら、いいでしょう?私は生きる。だから・・・」

「無理だよ。ここには生きている人間は来ることはできない。それに、奏音さんは体に戻れば、ここの事はすべて忘れてしまうから」





え・・・・?
全て、忘れるってどういうこと?

そんな事、聞いてない。
ここで、過ごした日々を忘れてしまうの?

浅葱と出会ったことも。
暁と過ごしたことも。

全て、なかったことになる・・・?





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