黄泉の本屋さん
わかってたのに・・・。
「ごめんなさい・・・」
「奏音さん。少し、言いすぎましたね。すみません」
私は首を横に振る。
私が悪い。
浅葱に、言ってはいけない言葉だった。
「奏音さん、約束しましょう」
「約束・・・?」
「約束。僕は、生きていた時の家族を。家族の最期を見守りたいと思ってる。それは、僕に残された僕ができる唯一の事だから」
「うん・・・」
「ですが、奏音さん。あなたの事も、あなたの一生も見守ることを約束する。僕はここから、あなたの事を見守り続ける」
真っ直ぐな瞳が私に注がれて。
それは、ウソ偽りのない浅葱の本当の言葉で。
「私は、浅葱の事忘れてしまうのに?」
「ええ。それでも。僕だけは忘れない。奏音さんの事を最後まで覚えてる」
浅葱は、覚えていてくれる。
ここであったことは、消えない。